今日は世界で一番有名なジョンの命日。それにちなむわけでは無いけれど、ジョンについて、ちょっと書いてみたいと思います。

JohnはJohnでもLennonではなく、Jon Brion(ジョン・ブライオン)。

ギターやキーボードなどオーソドックスな楽器はもちろん、さまざまなヴィンテージ機材に精通し、作詞、作曲、演奏、アレンジをこなすシンガー・ソング・ライター。元々はグレイズというバンドのメンバーで、ジェリー・フィッシュやワンダー・ミンツ周辺のバンドをチェックしてる人たちにはちょっと知られた存在だった。

また一方で映画「マグノリア」「パンチ・ドランク・ラブ」などのポール・トーマス・アンダーソン監督作品や、ミシェル・ゴンドリーエターナル・サンシャイン」のサウンドトラックを手がけた。ルーファス・ウェインライト*1フィオナ・アップルエイミー・マンから、あのカニエ・ウェストまで、とてつもなく振り幅の広いアーティストをプロデュースして有名になり、俺呼んで"21世紀のヴァン・ダイク・パークス"。

また毎週金曜にロスアンジェルスのヒップなナイトクラブ"Largo"*2で行っているソロライブも高い評価を受けているのですが、残念ながら未見*3

じゃあ彼の単独音源はというと、2000年に彼自身のレーベルから(たぶん)自主制作で発表された「Meaningless」というアルバムが一枚っきり。都内の大型CD店にはもはやコーナーすら無く、Amazonでも入手不可能。彼のオフィシャルサイトから直リンされた、なんだかよくわからない地味なサイトで販売されているのみ。まあ、いつかひょいっと手に入る日が来るだろうとあきらめていたら、実は先日、簡単に見つかりましたよ。それも地元・藤沢のタワレコで。税抜表記の古い値札に、直接、税込価格の値札が貼られてたとこを見ると、発売直後から売れずに待っててくれたのでしょう。いやはやホント感激しました。

内容? もちろん最高でしたよ。トッドやXTCのファンならよだれが出そうな良曲ぞろい。個人的にはM-2の「I Believe She's Lying」にKleenex Girl Wonderの残像を見ました(分かる人にはきっと分かる)。

ああ、それなのに。漠然とした物足りなさというか、この人じゃなきゃ!という強烈な個性というか、そういう魅力が欠けてるのも事実。なんというか、あまりにもジェントルでポライトな印象なんだよね。アクが無いというか。

それこそ"John"にはあるけど、"Jon"に無い・・・それは"H"というたった一文字のマジック。その欠けた"H"が示唆するもの*4こそが、彼のソロアルバムには断固として足りないんじゃないかなあ。

ただそんな彼の奥ゆかしい特性ゆえ、トラディショナルな音でもアップトゥデイトな音でも、彼の作る音楽はうまくなじむし、映画音楽としても一級品なんじゃないかと思います。だけど、もし今度、彼が新しいアルバムを作るなら、フューチャリング・ボーカルなんかに頼らず、やっぱり自分自身で歌って欲しいなあ。

アルバムタイトルはもちろん「Jon Brion」*5で。


エターナル・サンシャイン オリジナル・サウンドトラックラーゴハッカビーズ オリジナル・サウンドトラックPunch-Drunk Love

*1:デビューアルバムのキャンペーン時、バアフアウト誌のためにこの人をインタビューしました。彼はゲイなんだけど、会った時はほとんどそういう意識を与える雰囲気じゃなかった。今じゃライブのアンコールは裸にバスローブ姿で歌ってるらしいっすね。でもコンスタントに素晴らしいアルバムを出し、玄人筋からの評価も高く、ライブツアーも盛況。まったく理想の音楽家人生といえましょう。

*2:ジョンのプロデュースアルバムでブラッド・メルドー「Largo」という作品があります。ブラッド・メルドーアメリカの若手ジャズピアニスト。ジョンのライブをLargoで見て、意気投合し。二人をLargoのオーナーが引き合わせた。それにしても、ウェブサイト(http://www.largo-la.com/largohome.html)を見る限り、ホントに毎週行われているんだなあ。ワンマンバンド形式、フルバンド形式など毎回趣向が変わるそうです。見てみたい!

*3:先日のLA旅行の際も、たまたまフィオナ・アップルがゲスト出演する事になって、チケットは当然ながら完売。おまけにそのライブでひさびさにフィオナが復活するとあって、MTVニュースとかでもバンバン取り上げられてた。

*4:「いやん、H!」のHだけじゃなくて、あと"Humor"なんてのも欠けてる気がする。

*5:邦訳はもちろん「ジョンの魂」で。