"ナチュラル・ボーン・トップバッター!"といった精悍な顔つきのキューバ人選手が先頭打者ホームランをかっ飛ばす光景を眺めながら、いつのまにかウトウトしてた。
気がついたらラストイニングキューバの攻撃でノーアウト一塁・・・カウントは確か1-2だっけかな。そしてその15分くらい後、王さんがカリフォルニアの空に何回も舞っていました。とりあえずはめでたい気分。夜が更けるまで、イチローの変なピースサイン(手をファシストみたいに突き出すアレ)を真似して過ごしました。

ドナルド・フェイゲンのニューアルバム「Morph The Cat」がとにかく素晴らしい。三年前にスティーリー・ダンでリリースした「Two Against The Nature」は個人的にはもうひとつ馴染まなかったので*1、事前の期待値はさほどでもなかったのですが、アルバムを聴き通したあと、椅子に腰掛けたまま、しばらく脱力してしまいました。
彼のインタビュー発言によると、今作はファーストの「ナイトフライ」と前作「カマキリアド」を含めた"トリロジー"であり、これがその最終作であることを示唆していましたが、おもいっきり近未来SF的な世界観で貫かれたコンセプトアルバム「カマキリアド」を抜かして、やはり「ナイトフライ」と表裏になった作品という印象をもちました。ただしこの三枚ともアルバムに収めた曲が8曲*2で統一されている点など、やはり三部作を意識した結果かもしれません。
一曲目のタイトルで、アルバム名にもなっている「Morph The Cat」を直訳すれば「ネコのかたち」といったところでしょうか。青空に浮かんだネコのかたちをした"なにか"が、マンハッタン中に"JOY"を振りまきながら、ふわふわと漂っていく様がクールに描写されています(歌詞はここ参照)。
五年前のよく晴れた秋の日に起こった黙示録的な事件と、あの日ニューヨークから失われた建物。いつまでもぬぐえない悲しみや虚しさを浄化してくれるひとつの象徴として"Morph The Cat"が彼の心の中に登場したのかもしれません。
彼と彼の盟友たちが織りなす、緻密なサウンドやコードワークを盲目的に賞賛する人たちが(特に日本では)多いけれど、繊細で個人的な想いがスーパーナチュラルな物語へとドラスティックに変換されていく彼の詞世界にこそ、ぼくはいつも圧倒されてしまう。なんちゃってスティーリー・ダンや偽ドナルド・フェイゲンがいかに彼らのアレンジやメロディをパクろうとも、決して追従できないのはまさにそういう部分なのだ、と、ぼくはいつも強く感じているのです。

*1:もちろん好きな曲もたくさん含まれている良盤です。復活してからというもの、妙に順調だった彼らの活動ペースに対し、単にありがたみが薄れていたのだと思う。ちなみに昨年買った「ガウチョ」のアウトテイクス集「The Lost Gaucho」は狂ったように毎日聞きました。

*2:「Morph〜」は全9曲ですが、表題曲のインストがリプライズとして収録されているので、実質8曲とみなしました。