今年は書籍一冊、アルバム一枚と個人的にはまずまずの仕事ができたかなあと思っています。来年は今年のイキオイを持続しつつ、さらなる実績を積みあげていければと思っています。
静岡と高円寺は文句なしの盛り上がりで、カラダが痛いです(笑)。詳しくは年明けにでもゆっくり書きますが、静岡と高円寺に集まってくれた人たちは、僕にとって「核」ともいうべき存在です。来年も僕を支えてくださいね。
で、どういう一年の締めをこのブログに書こうかと、さっきから逡巡してたのですが、今年最後に読んだ本に、今年一番の感銘を受けたので、これを紹介したいと思います。ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」という短編集です。
図書館で旅先に持っていく本を探していたのですが、ふと目に入ったのが、このどこかで見たようなタイトル。出版は2001年で「世界の中心で愛を叫んだけもの」と同じパターンというか、もちろんこちらが先。デビュー作にして、ピューリッツァー賞、O・ヘンリ賞、PEN / ヘミングウェイ賞を総なめするという恐るべき新人作家なのですが、更に驚くべきはその美貌。作家の域を超えています。
まあ、そんな僕らしいヒッカカリで手に取り(笑)読んでみることにしたのですが、1967年生まれの女性が書いたと思えないほど、冷静で、繊細で、骨太で、あたたかな文体に激しく打たれました。九編の短編はすべて彼女の出自であるインド系の人々とその周辺をテーマに書かれているのですが、文字どおりそれが彼女の小説にとって大きな特徴(スパイス)となっています。しかし、本当に素晴らしいなあと感じ入ったのは、あくまでそれはただのスパイスであって、彼女の小説の主題や主眼とはいっさい関係がないところです。「インドにはカレーがない」という話と似ている気がします。インド系アメリカ人の彼女が書く小説はインド系という出自でなければ書けなかったような部分はまったく無いと言っていいかもしれません。そのことがとても不思議な読後感を醸し出しています。
特に一番最後に収められた「三度目で最後の大陸」という小説を読んでみてください。凄いです。ぼくはこれを読んだあと、ものすごいエネルギーが湧いてきて、大変でした。風邪を引いて、調子はぜんぜん良くなかったのに、この一編を読み終えるやいなや、蛍光灯を替え、レンジ周りを磨き、カレーを作り、お風呂場を洗い、玄関ドアを拭いて、正月のお飾りを生まれて初めて買ってきて、取り付けをしました。その後、向かった高円寺でのDJは今年のプレイの中で、おそらく三本指に入る出来だったと思います。
このような素敵な小説や作家と偶然に出会えて嬉しかったし、こういう小さな幸せの積み重ねが新しい年に船出するチカラに変わる気がします。僕も良い本を書き、良い音楽を作り、みなさんに届けられるようがんばります。2007年もみなさんにとって、いい年でありますように。

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)