明け方はチャンピオンズリーグの結果に一喜一憂し、朝は江夏のようなふてぶてしい表情で素晴らしいピッチングをしたマリナーズのヘルナンデスに魅了され(松坂は?)、午後はFred Neilを聞きながら窓を拭きました。カラダの中で澱んでいた不純物が雲と一緒に流れていきそうな、最高に気持ちの良い春の一日でした。
以下、最近の愛聴盤です。良いレコードはジャケットも素晴らしい。そしてその見本。

若き日のボブ・ディランがその才能に嫉妬し、晩年は浮浪者同然の生活を送って、1993年に路上で亡くなった伝説のシンガーソングライター、Karen Dalton*1。彼女は俗にフォーク界のビリー・ホリデイと呼ばれてます。とっつきやすいのが、ベアズヴィル録音のセカンド「IN MY OWN TIME」。昨年CDで復刻されたばかりなのに、ボーナス四曲を追加して、もうすぐ再発するんだって。マニア殺しですね。
ファーストがこの「It's So Hard To Tell Who's Going To Love You The Best」。若い頃からきわめて奔放だった彼女は、レコーディングやライブの約束をたびたびすっぽかした。業を煮やしたプロデューサーがとった作戦がスゴイ。慕っていたフレッド・ニールのレコーディングと偽って彼女を呼びだし、そうとは知らずスタジオで歌い出したところを隠し録り。ほんとだろうか?(笑)
試聴してもらえば分かると思うけど、とても白人女性の歌声とは思えないですよね。ビリー・ホリデイどころか、タイトル曲なんてまるでロバート・ジョンスンのようです。でもマディな雰囲気になってないのは、十二弦ギターやバンジョーを生かした透明感のあるバッキングとの対比が素晴らしいから。
で、先に書きましたが、セカンドアルバムを録り終えた彼女はカルロス・サンタナの前座としてツアーに出るも、途中で失踪*2、音楽シーンから完全に消えてしまいました。発見されたときには浮浪者同然の生活を送っていて、メタドン中毒にもなっていたといいます。再起を促す周囲の声も虚しく、ついに亡くなってしまったのですが、そうした「未完」性(未完成ではなく)が彼女の残した作品をより鮮烈なものにしているのかなあ、と思ったり思わなかったり。イヤ、強くそう思います!

そしてフレッド・ニールといえば、ハリー・ニルソンに提供した「うわさの男」も入ってる「Fred Neil」は、さっきも書いたように今日の僕の原動力。そしてフレッド・ニールとフランク永井は低音が魅力。

ジャケットに惹かれて大昔にパーフェクト・サークルで買ったChris Smithermの「I'm a Stranger Too!」もCDになってることを最近発見。僕が持ってるアナログは盤質が悪いので(だからメチャクチャ安かった)買い直したい。ついでに言っておくと、iTMSでも売ってた。信じられない!

*1:尾崎豊が路上で死んだのはその一年前。

*2:失踪といえば、先日DVDも発売された『悪魔とダニエル・ジョンストン』の中で、もっともスリリングだったのがニューヨークでロスト・コントロール状態に陥ったダニエルが失踪してしまうくだり。ソニック・ユースの男衆が手分けして探すんだけど(笑)、ちゃんとそのプロセスを録音したり、ビデオで録画しておいたなんてスゴイ!と、最初に見たときは思ったし、あまりの用意周到さにやらせかと疑ったりもしましたが、ダニエル磁場に入った人間なら当たり前のようにやったんだろう、と考え直しました。つまり、そういう風に周囲の人々を「自分化」してしまうのが真の天才であり、芸術家なんでしょうね。書いてて気づいたけど「隠し録り」というキーワードでもダニエルとカレンには共通項がありますね(笑)。