今や英語圏では慣用句として用いられている「キャッチ=22」。*1
ごぞんじジョゼフ・ヘラーの同名小説が語源ですが、飽きもせず繰り返される強行採決を見るにつけ、今の日本が陥っている「キャッチ=22」的状況にクラクラしてしまいました。
早川書房から出ている文庫は上巻下巻に分かれていて、かなりの長編。そこで、同じく名作の誉れ高い映画版をDVDで見直しました。*2
あらすじはこんなかんじ。
舞台は第二次世界大戦中のイタリア。小さな島にアメリカ軍の前線基地があり、主人公のヨッサリアンは空軍で爆撃手をしている。規定の回数分、爆撃に参加すれば自動的に除隊ができる=責任出撃回数は、クリア寸前でいつも上官によって回数を増やされてしまう*3
ついにヨッサリアンたち兵士の怒りは最高潮に達した。出撃を免除してもらうための唯一の方法は、軍医によって自分が狂人であると認定されること。ヨッサリアンはダニーカ軍医に対し、診断書を書けと迫る。

「オア(註:ヨッサリアンの同僚)は気が狂っているか」
「ああもちろんだとも」とダニーカ軍医は言った。
「あんたは彼の飛行勤務を免除できるか」
「できるとも。しかし、まず本人がおれに願い出なければならない。それも規則のうちなんだ」(中略)
「それだけで飛行勤務を免除してもらえるのか」
「それだけだよ。あいつに免除願を出させろよ」
「そうしたら、あんたはオアの飛行勤務を免除できるんだな」とヨッサリアンは問いただした。
「ちがうね。そうしたらおれは彼の飛行勤務を免除できないんだ」
「つまり落し穴があるってわけか」
「そう、落し穴がある」とダニーカ軍医は答えた。「キャッチ=22だ。戦闘任務を免れようと欲する者はすべて真の狂人にはあらず」
ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22』上巻/飛田茂雄訳より。

要するに、自分の気が触れていると他人に訴えることができる人間は気が狂っていないから免除は認められない・・・と、いうのが、このシチュエーションにおけるキャッチ=22。このような「キャッチ=22」が他にもたくさんあって、兵士達の自由は完璧に絡め取られている。

さて、ヨッサリアンはこのキャッチ=22からどうやって抜け出したのか?

答えは簡単。
すべてを放り出して・・・・・逃げた!

*1:唯一の解決法が、その問題に本来備わった条件によって否定されているような、解決不能の状況。(ウェブスター大学生用辞典)

*2:監督は「卒業」のマイク・ニコルス。主演は去年オスカーも受賞したアラン・アーキン。「卒業」繋がりでアート・ガーファンクルも出演。ポール・サイモンも出てたらしいんだけど、本編では出演シーンが全カット。サイモン&ガーファンクルの解散原因になったとか。撮影用に建設した滑走路から本物のB-25が至近距離で発着するシーンは物凄い迫力。必見です。

*3:25→30→35→40→50→55→60→65→70→80回