最近このブログでは話題にしてないけれど、一時期のボクにとってモー娘。とプロレス(格闘技)に対する思索が一日の80%くらいを占めている時期がありました。そうだな、特に1998年から2002年あたり。
プロレスや格闘技は物心ついた頃からずっと見ていたけど、ちょうどその頃にスカパー!を導入したこともあり、アメリカのプロレス団体WWF(現WWE)」にとにかくハマってました。
世に言う「ATTITUDE」時代。ビンスとストーンコールドスラップスティックな抗争、アンダーテイカーとマンカインド(Mr.Socko!!!)の伝説的な金網戦・・・番組はまだRAWしかやってなくって、ザ・ロックがチンピラみたいなルックスで、ライバル団体のWCWも存命だった時代・・・今見ても興奮するような出来事が毎週毎週起こってたので、これはという周りの人間にビデオやDVDを貸しまくって、WWF布教の鬼と化してた。
そして2002年には「SMACKDOWN! TOUR LIVE in JAPAN」と銘打ち、待望の単独来日。*1
その発表記者会見へ当時出演していたスペースシャワーTV「劇空間リクエストアワー」の取材と称し、ボク、オオクボ☆コウイチ、加藤賢崇さん、ディレクターの児玉裕一くんという、WWEフリークが揃って潜入しました。
その会見へ登場したスーパースターのひとりこそ、"狂獣"クリス・ベノワでした。*2
ベノワは若手時代に新日本プロレスで下積み修行(レスリング留学って呼ばれてました)をし、その後、ペガサス・キッドワイルド・ペガサスというイカしたネーミングの覆面レスラーとして、獣神サンダーライガーエル・サムライなんかと抗争を繰り広げてたわけ。タイガーマスクにダイナマイト・キッドという優れた外敵がいたように、彼のゴツゴツとした、それでいて躍動感のあるレスリングは主役(?)のライガー以上にプロレスファンのハートをがっちりとつかんでいた。
アメリカのメジャー団体に戻ってからも、新日時代に培ったジャパニーズ・スタイルのレスリングを貫いた彼に、日本のファンは特別な感情を持っていたのです。もちろんボクも含めて。

そんな彼が現地時間の昨日、急死・・・否、自殺しました。
いまだに詳細は掴めないけれど、今ちょうどやっているCNNのニュースによると、先週土曜日にベノワ自身が妻を絞殺(strangled)し、日曜日に七歳の息子を窒息死(smothered)させた後、月曜日に自宅にあるジムで首を吊って死んだそうです。部屋からはドラッグ(もしくはステロイドの錠剤)が発見されたとのこと。

アメリカメディアの論調は、ここ数年WWEのレスラー達が多数死亡していること(ちなみに今年に入ってからだけでもバンバン・ビガロ、マイク・オーサム、シェリー・マーテルが死亡)をステロイドやドラッグの影響と結びつけて報じていて、特にベノワの件は家族を巻き込んだ殺人事件(アメリカには一家心中という概念がないので)として、一気に社会問題化しそうな気配です。*3

他人の闘争本能や欲望をリング上で代弁するプロレスラーは、人々から多大な尊敬を受け、そこにきっと大きな陶酔感があることは想像に難くありません。しかし蓄積する肉体のダメージから痛み止めを常用したり、痛みに耐えうるカラダを作るためステロイドに頼ったり、ストレスや不眠症から睡眠薬やドラッグ、アルコールなどに走るレスラーも少なくありません。先に書いたように、亡くなっていくレスラー達に原因不明の突然死や脳卒中、心臓病などが多いのもうなずけます。*4

とにもかくにも。
大勢のファンから喝采を浴びることのできるリング上ではなく、誰もいない自宅で愛する妻と幼い子供を自らの商売道具である「手」で殺めてしまったことがボクは信じられない。聖地マジソンスクエアガーデンで行われた「レッスルマニア20」でHHH、ショーン・マイケルズを下してチャンピオンになり、親友のエディ・ゲレロ(彼も二年前に突然死した)や子供たち、妻をリング上で泣きながら抱きしめた彼が、同じ手で家族を殺すなんて、にわかに理解できないことです。*5

月並みですが、彼と彼の家族の魂が安らかに眠れることを祈って、この文章を締めます。
さよなら、クリス。*6

*1:WWFとの初遭遇は1990年4月の日米レスリングサミットin東京ドーム。新日&全日との奇跡的共催興業。天龍対サベージという名試合を生で見れて感激したなー。一緒にそれを見に行った小学校からの親友Nくんはなんと今、新日で営業をやっているという。彼にプロレスの面白さを伝授した張本人としては、感慨無量です。

*2:他にはTAJIRI、トーリーも。その時、ケンソウさんが「あなたの入場テーマ曲は日本の読売ジャイアンツが応援歌として使っていることを知ってますか?」みたいな、ケンソウさんらしい質問をトバしたら、場内が一気に失笑モードに変わったんだよ(笑)。で、その質問自体は「申し訳ないけど、知らないなあ」みたいな感じでいなされたんだけど、続けてケンソウさんが「好きな音楽は?」って聞いたら、ニッコリ笑って「メタリカとかモトリー・クルーとか」って機嫌良く答えてくれて、身内の俺たちも非常にホッとしたという。

*3:パリス・ヒルトンが出獄したから、今のところニュースはそれ一色ですが。

*4:関心を持たれた方はアメリカ全土をサーキットするレスラーの実態を描いたドキュメンタリーフィルムの名作「ビヨンド・ザ・マット」をご覧になるといいでしょう。

*5:で、実はWWEのサイトにアップされていた追悼ビデオ(レッスルマニアでの戴冠シーンなども含んでいた)を紹介しようと思ったんですが、事件性が強まったことが原因か、くだんの映像も消滅。ベノワ追悼一色だったHPも通常モードに戻されつつありました。

*6:さらっと短めの追悼文を書くつもりだったのに、結局こんな長さになっちゃいました。