トゥーサンから繋がる<中性的な男性ヴォーカル>というネタ。一昨日くらいから暖めていたのですが、うまくまとまらず。せっかく画像まで用意したのでボツにするのは惜しい。オチが付くかわからないけど、一応書いておくことにします。
1,ニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」のこと。
中性的というよりも、むしろ女性的。「メモリーグラス」の堀江淳を彷彿とさせる、印象的なハイトーン。ただ単に高いだけでなく、芯が細くてフニャフニャしてる。ジャケットの面白さ(顔、メガネ、髪型、ヒゲ、タキシードに蝶ネクタイ)と相俟って、このアルバムを「なんだかよくわからないけど、ついつい口に運んでしまう珍味」のような魅力に仕立てているのが、デカロのオンナ声。ロジャニコやクリス・モンテス、クローディヌ・ロンジェなどのA&Mサウンドを支えた名編曲家である彼が、なにゆえこのような全編自身のヴォーカルをフィーチャーした作品をリリースすることになったのか、長年疑問を持っていたボク。
幼なじみのトミー・リピューマが設立したブルー・サムから1974年に発表され、今ではAORのルーツ的な作品として評価されてるわけですが、そのきっかけになったエピソードをこのHPで読んで合点が。リピューマの昂揚が前作から五年の時を経て、この名作を作らせたとは。
2、デカロに続いて棚からひとつかみしたのが、カナダ人シンガーソングライター、ビル・アムスベリーの「Can You Feel It」(1976年)。
タイトル曲は、シュガーベイブの「ダウンタウン」的なリズム(ドンドコドンドコ)が弾むような、ヤングソウル風の名曲。DJでプレイすることもしばしば。他の収録曲も実にアーシーで中性的の欠片も無い。はずが。なぜかジャケ写の彼の眼差しに「オンナ」を感じずにいられなかったのです。
で、この人の詳しいバイオグラフィーを調べようとネットを検索してみたら、ボクの直感を裏付ける、驚くべき情報に突き当たりました。なんとビルさんはこのアルバムを発表後、性同一性障害であることをカミングアウトし、性転換手術を受け、女性・・・つまりバーバラ・アムスベリーさんになっちゃったのです。今はミュージシャンから足を洗い、美術家のパトロン、慈善事業家に転向したとか。
なんだ、この展開は。これにはちょっとビックリしたなあ。