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何度も中断しつつ、開高健生物としての静物」読了。乾燥牛肉のように、スパイシーで塩気がたっぷり効いていて、何度も噛み締め、アゴがダルくなるまで味わった。なるたけ静かな夜を選んで、じっとりと汗ばみながら。

ナンでもカンでも一人前以上にやってのけられる人物が尊重され、貴重がられ、それにふさわしく待遇されている例はたくさんあるけれど、一つか二つのことしかコナせないのに七つ、八つのことを同程度にコナせる人物よりもはるかに高く信愛されるケースがじつにしばしばある。いや、ひょっとするとその事例のほうがはるかに多いのではあるまいかということである。これは人間性というふしぎなものについての一つの示唆である。(「小さな、偉大な戦士ウェンガー・ナイフ」の章より引用)

最近、NHKなどで多くの追悼特集が放映されている城山三郎小田実。相次いで亡くなったこのふたりは、ともに開高と縁の深い人物であることは知られている。1966年、ニューヨーク・タイムズ紙にベ平連が掲載した、かの有名な意見広告(「殺すな」)の文面作成のためにも、この三人は集った。
あるウェブサイトで写真を見た。1967年に開催された「みんなでベトナム反戦を!ジョーン・バエズとともに」というコンサートで、バエズの後方に三人が並び、スクラムを組んで、声を張り上げている。歌や言葉やスクラムが今よりもずっと有効なチカラだった時代。その昂揚。