正午にチェックアウト。アテンドをしてくれるはずの、アベ&井上両氏は15分遅刻でやって来た。しかもなにやらホテル内に用事があるとかで、ぼくひとりをロビーに残して、すぐにどこかへ行ってしまう。福山へ来るたび、扱われ方がぞんざいになってきているような・・・。
とにかく腹が減ったので、アベちゃんオススメのうどん屋丸亀製麺」へ*1。ぶっかけ冷やしにちくわ天&エビ天をつけて、まず一杯、その後、釜たまを追加でもう一杯。ごちそうさま。
昨晩のウィイレでコンビを組み、ともに勝利の美酒に酔った「ソーズダイナー」オーナーのぐっちゃんと「CAFE DECO」で合流。実は今回の来福、彼が10月に二号店としてオープンするレストラン「NATURE」で、ブライダルイヴェント関係の音楽を監修することになったため、打合せと、お店の下見が目的。昨日、詰め切れなかった部分を、お茶しながら、あらためて確認。ぼくからもいろいろアイディアを提案させてもらい、面白いことが実現できそうなので、展開が楽しみです。
ぐっちゃんと別れ、古本市場ブックオフ。開高さんの著作を文庫で二冊、カーヴァーの「ささやかだけれど、役に立つこと」ハードカバー版を105円で抜く。「ささやか〜」「ぼくが電話をかけている場所」「夜になると鮭は」のシリーズ三冊が本棚に揃えられて嬉しい。
古本ハントのあとは、新幹線の時間まで「ジムアンドレコーズ」で過ごす。新譜のレコードやCDを扱う店が次々にクローズしていく中、通販を中心に、売り上げと実績を堅実に積みあげているというのはホントすばらしい。とはいえ、彼ら自身の希望は、お店に直接足を運んでくれるお客さんを少しでも増やしたい、ということ。これに関しては、即効性のある処方箋は、なかなか見つけらないだろうけど、彼らならきっとがんばれるでしょう。
ジムに残ったクワダ君の、やはり幾分ぞんざいな見送りに苦笑しつつ、福山駅へ向かう。ぜひ土産を持たせたいというアベ&井上両氏の申し出に対し、もともと荷物が多かったこともあり、そんなそんなお気遣いなく、と答えたのですが、彼らはご丁寧に、種類のすべて違うフルーツゼリーを、四箱も購入。それを強引に持たされました。いやがらせ? いやいや、ありがとう。
福山から小田原駅までは新幹線で約4時間。夏休みのせいか、座席はほぼ満席。出張風のサラリーマンにまじって、子供連れの家族や外国人(=白人)旅行者が目立つ。子供も外国人も声のヴォリュームがやたらデカいので、騒々しいったらない。
往復の車中で、最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人」読了。もっぱら評判のよい本だし、じっくりと、なおかつ一気に読みたかったので、読書に専念できる、こういう機会を伺っていたのです。
ぼくにとって、星さんといえば、和田誠さんが挿絵を描いた、子供向けのショートショート作品。最相さんもこの本で書かれていたけれど、SFを読んでいるという認識はまったくなく、あくまで「ホシシンイチノショートショート」として読んでたように思います。ぼくに植え付けられた、SF感の原点は、マジンガーZのようなロボットアニメであり、ゴジラウルトラシリーズのような円谷作品であり、なんといってもスターウォーズでした。
著者近影で見る星さんの顔は、作家というより、お医者さん・・・それも子供の頃の自分に身近だった、小児科や耳鼻科の先生を重ねて、見ていたように思います。まっしろで、ひんやりとしていて、清潔で、ぴかぴかの機械が並んだ診察室のイメージ。おとなになった今も、そのイメージはしっかりと心に残っています。そういえば、病院の待合室には、絵本や週刊誌にまじって、星さんのショートショートも、よく置かれてましたね。*2
医者の"顔"を持つ・・・というと、意味はちょっと違いますが、すぐに手塚治虫を連想します。幅広い年齢の読者を相手に、あまたの作品を発表してきたということ、ジャンルの先駆者としての強烈な自負、かたや医学、かたや化学(農学)という理科的なバックボーンを持つ、など、星さんと手塚治虫には相通ずる要素も多いのですが、この本を通して知った星さんの「ナマ」の姿から、手塚先生ほどの強烈さはなくとも、またひと味違ったタイプの、いくぶん屈折した、エゴイスティックな天才、という認識へ、微妙に変化した気がします。
手塚先生の場合、彼の「ナマ」の部分をいくら見聞きしても、作品それ自体から受ける印象は、不思議と変わりません。しかし、星さんのショートショート作品は、今までのように、もう二度と読むことができないだろう、と感じました。伝記本、評伝本のたぐいはわりと好きで、今までも好んで読んできましたし、作品と作者のパーソナリティは、切り分けて味わえると思いこんでいたので、自分のこの反応には、少々驚きました。
小田原駅からは東海道線に乗りかえ、約30分。そこからバスで自宅まで戻る。湘南は小雨模様。福山に比べて、ずいぶんと秋めいた空気。一泊二日の旅行で、そのうち移動がトータル10時間というのは、やっぱり疲れるね。帰宅後、簡単な食事を済ませ、入浴。早々就寝。

*1:全国チェーンなんですね・・・。

*2:当時、テレビで見て、顔を知っていた作家(池波正太郎、柴田練三郎、松本清張野坂昭如遠藤周作などなど)はみな、仏頂面で、ぶ厚い眼鏡をかけた、あつくるしい顔の人たちばかりだったから、余計にそう思ったんでしょう。