沢木耕太郎バーボン・ストリート」「一瞬の夏」読了。
"勝敗こそすべて"のボクサー、"カネこそすべて"の魑魅魍魎。さしずめ沢木は"夢こそすべて"のホワイトナイト。本来なら傍観者であるべき、ルポライター自身が、取材対象の人生にコミットメントし、掻き回し、掻き乱される。そしてカシアス内藤というボクサーに関わった人たちの、勝ち敗け、カネ、夢のすべてが交錯し、そしてそれは最後の一瞬で決算する。ボクシングをテーマにしたドキュメントや小説、映画には、気分を無性に昂揚させてくれる、共通したテイストがある。沢木が、取材活動の範疇を超え、内藤に深く関与しなければならなかった理由も、たぶんそこに秘密がある。それがどんなものか、今はまだうまく言葉にはできないのだけれど。