おととい訪れたレコード屋で、ひさしぶりに「中古ハウス/テクノ」コーナーを触ってみた。
ネットオークションならいざ知らず、いま、中古レコ屋の片隅でくすぶっているようなものに関しては、基本盤、歴史に残る名盤、はたまた珍盤も、オトナもコドモもお姉さんも、一切合切がたたき売り状態。
購入に到ったレコードは結局一枚もなかったけど、指先にその刺激が残っていて、自分のコレクションからひとつかみしたレコードをじっくり聴き直してみました。

たとえば。禿げっぷりが杉浦直樹ブライアン・イーノにそっくりな、マシュー・ハーバートさんが、別名義"Doctor Rockit"でリリースしたアルバム「THE MUSIC OF SOUND」。
これを新譜として買った時=1996年は、まだハーバートさんの存在は知らなかったんじゃなかったかな。で、1996年といえば、いわゆるトリップホップ〜HEADZブームの真っ只中。Mo'Wax、Ninja Tune、Pussy Foot・・・このアルバムを出したClearなどのレーベルから出た新譜なら、12インチだろうが、アルバムだろうが、とにかく片っ端からお金のつづくかぎり買っていたし、このアーティストはこういう人で・・・なんて、ウンチクは完全に後まわし。毎週毎週、宇田川町へ大量入荷する新譜にひたすら一喜一憂し、振り返ってみても、あれほどドップリと、レコードハントの喜びを謳歌していた時期はなかったんじゃないかな。
Doctor Rockitのコンセプト・・・世界中でフィールドレコーディングした音を素材に、楽器をオーヴァーダビングして作品化するという手法は、ホルガー・シューカイの「ペルシアン・ラブ」を彷彿としますが、その後、セカンドに収録された名曲「Cafe De Flore」の原点・・・言い換えれば、Doctor Rockitの"A Man in Cafe"シリーズ第一弾「Cafe Beograd」・・・この曲に漂う"電子叙情"は、聴けば誰しも痺れるはず。
それにしても。10年以上前の作品なのに、この人の"ぶれなさ"加減はなんだッ。実際それだけで驚嘆に値すると思う。デビュー作にして、プロスペクティヴもパースペクティヴも含んだ音。
リスナーとしては、新譜を楽しみに聴くという喜びが残されているわけですが、作り手としての彼が、自分の音楽に対して、どういう風にドキドキしているのか、すごく興味がある。彼がさまざまな名義やコンセプトをこまめに取り替えるのは、トキメキを維持するために必要不可欠なシバリというか、バイアグラというか。
そして、この音が気に入ったら、ぜひぼくの「Journalized」もよろしくね。こちらはもうすぐ発売一周年。

★★★★★

Holger Czukay / Persian Love
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