公私ともに、めっきり親交が深くなった年下の友人、前園直樹くん*1主宰のオンラインレコード店「LOVE SHOP RECORD」がめでたく一周年を迎えました。で、前園くん本人からぜひお祝いのメッセージを、と請われて一筆、したためさせていただきました。
http://loveshop-record.com/

良心的なプライスと、濃密で為になるコメントがレコード一枚ごとに付された「LOVE SHOP」。一目見たときから新鮮かつ、刺戟的でした。クラブ・ピーポーをダンスさせることが主目的の、所謂”打ってるか/打ってないか”で選別された和モノレコードの数々、またマニアの偏狭(=辺境)的な世界観のなかでのみ珍重されるような稀少盤・・・そんなレコードに対してもしっかり目配せしつつ、ウィンクひとつでひらりとかわすような痛快さ・・・彼の見事な”選盤眼”にそんなイメージを持っているのはぼくだけでしょうか?
またそのイメージは、かつてジャイアント馬場が、UWFという、蹴りや関節技といった真剣勝負(シューティング)的雰囲気を売りにするプロレス団体が隆盛を極めたときに発したこの言葉=「プロレスを超えたものがシューティングではなく、シューティングを超えたものがプロレスなんだ」に連鎖するのですが・・・それはさておき。
先日、前園くんはぼくが気に入りそうだからと、あるレコードをプレゼントしてくれました。それがこの原田真二が1987年にリリースしたシングル「LOVE OPERATOR」。ラー・バンド「CROWDS ACROSS THE MOON」を下敷きに、Bメロがスクリッティ・ポリッティ、そしてサビのブラスサウンドはスイング・アウト・シスター風になるという、1987年当時の、洋楽志向が強いミュージシャンなら誰もがやりたくなるようなことを、全部詰め込んだ大名曲。ぼくが7/25の日記で「ラー・バンド歌謡」について書いたことへの、前園くんの素晴らしい反応というわけ。
ちなみにB面はデビュー曲「てぃーんずブルース」をプリンス風のカッティングギターをフィーチャーして、再演。
<参考音源> http://www.supload.com/listen?s=6L9CG3BKFO9Z


そして先週、都内買い付けの旅に同行した折には、彼がコロムビアレコードから2003年にリリースしたコンピレーション「LOVE SHOP COLUMBIA EMERALD GROOVE」のサンプル盤をいただきました。
発売時点では架空のショップだった「ラヴ・ショップ」店主として、コロムビア音源のなかから全21曲をコンパイルしたアルバムなのですが、選曲はもちろん、添えられた詳細なライナーノーツの端々から、まもなく実体化することになる「LOVE SHOP」への所信表明というか、愛する音楽への関白宣言といったものが、ムンムンと立ちのぼっています。
これまで何度も会ってるのに、彼にとって名刺代わりというべき作品を、このタイミングでくれたことには、なんらかの意味があると思うのですが、その理由を詮索するのはよします。どうしてかというと、答えは単純。このコンピレーションアルバムを楽しむことに熱中できたから。

たとえば。
ブレッド&バターの「ピンク・シャドウ」。


ブレッド&バター - SHONAN BOYS~For the young and the young-at-heart - PINK SHADOW

高校生の時、FMで耳にして「コーネリアスの新曲なんじゃないか、って勘違いしたものさ(笑)」と、冗談めかして解説文に書いた前園くん。これを読んだ後じゃ、もう一生コーネリアスを連想すること抜きで、この曲を聴くのは難しいはず。そしてこのブログで以前書いた、ポップミュージックにおける”オンナ声”の歌い手に対し、ブレバタから南佳孝へ、そして小山田くん&小沢くんといった”少年声”ポップスの系譜に思いを馳せつつ、ブレバタに南佳孝じゃ少年声というより、むしろ湘南声じゃないの?といった脊髄反射的なツッコミを入れずにいられないこと。

また、たとえば。
アルバム冒頭にオリジナルヴァージョンが、そしてラストにライヴヴァージョンが収められた、やまがたすみこ「夏の光に」。
オリジナルヴァージョンの、たゆたうエレピの響きから、1973年のピンボールならぬ1976年のサウダージを感じつつも、ムーン・ライダースがバッキングしたアーシーなライヴヴァージョンを耳にすることで、1973年のホール&オーツAbandoned Luncheonette」を棚から引っぱり出し、「Las Vegas Turnaround」を聞き直すことの愉しさ。


もうひとつ、たとえば。
ちあきなおみ「想影」が収められているアルバム「あまぐも」のジャケットが、ビル・エヴァンスWaltz for Debby」のほぼ完全な引用であること。*2

・・・と、ハナシは尽きそうにない。

なにはともあれ、祝☆LOVE SHOP一周年ということで。

*1:前園くんは若き日の大瀧詠一さんにルックスが少々似ておりまして、いつの日か、声が大瀧さんそっくりのいちかたいとしまささんと共演、というか、アテレコによる"疑似はっぴいえんどコンサート"を開いたらどうだろうというのは、夢想花(バナ)。

*2:口が悪い人なら”盗用”と云っちゃうだろうね。