中高生のような(=rockin'on読者だった時のような)気分で新譜を待望できる、ほぼ唯一のバンドRadioheadの「In Rainbows」。配信オンリー&投げ銭(プライスをユーザーが自由に設定できる)形式のリリースながら、現在までに120万ダウンロード突破だって。トム・ヨークのソロを聴いたときは、このままバンドの活動に戻らないかもと、すこしばかり心配しましたが、新作聴いたら完全に杞憂でした。やるなー。
それにしても。
Radioheadに限らず、既存のシステムで作品を流通させないアーティストが、ますます増えてますね。ポール・マッカートニースターバックスとレーベルを設立したり、プリンスが新聞のおまけとして新作アルバムを発表したり、マドンナがレコード会社を捨て、イベント制作会社と契約(1億2000万ドル!)するなど、これからも続々こういうことが起きるでしょう。
こないだのWEEKENDERSでも話題に出たけど、メジャーのレコード会社というのは、一握りのビッグスターの売り上げが、同じレコード会社に所属している有象無象のアーティストを支えるという図式もあり(エイベックスのアーティストなら倖田來未、ビクターならサザンやスマップの、といったような)、それゆえすぐに利益が見込めない新人にもデビューのチャンスが与えられたりするのです。ただでさえCDの売り上げが芳しくないご時世ですから、大量の宣伝費や制作費のかかるアーティストなら、他人の作品に自分の稼いだお金が周るよりも、こうして限りなく独立採算のかたちに近づけることで、創作活動を自衛する傾向はますます強まるでしょう。
レコードやCDに音楽を複製し、それをビジネスにしてきたよりも、はるかに長い年月、音楽は容れ物を持たず、演奏家が実演することでしか再現不能だったわけで、約百年のサイクルを経て、その原点に立ち戻ったとも云える。そういう意味では自然の流れかもしれません。
(写真)価格40ポンドで近日発売予定の「In Rainbows」豪華ディスクセット。