読了。
西村雄一郎「巨匠のメチエ〜黒澤明とスタッフたち
"音楽のイメージがあるってのはね、どんな監督でもありますよ。だけど黒澤さんの場合は、自分のイメージの音楽を起こして、それに合わせてフィルムを切っていく*1。そこまでいっちゃうんですよ。その編集されたフィルムに音楽をつけていくってのは大変なことなんですよ"(武満徹
ロバート・グレイスミス「ゾディアック」
カポーティの「冷血」を筆頭に、コリン・ウィルソンの諸作、チャールズ・マンソン事件を追った「ファミリー」や、マイケル・ギルモアの「心臓を貫かれて」、東電OL事件や愛犬家殺人事件・・・などなど、異常犯罪を取り扱ったノンフィクションはいろいろ読んでいますが、ここまで乾き尽くした文体の、徹底的に客観を貫き通した本は初めてかも。加害者への憤りも、被害者への同情も、ほとんど伝わってこない(個人の感想です)、ほんとうに不思議な読後感。著者が言葉の世界の住人ではなく、新聞社の風刺漫画家というビジュアルの人であることが為せたワザだと云えましょう。この本を基に、現代ハリウッドきっての"ビジュアリスト"として知られるフィンチャーが、あそこまでエモーショナルな作品にAdaptできたのは、やはり凄いと思う。そしてもちろん音楽のチカラも。ハーディガーディガーディガーディ・・・。

Zodiac

Zodiac

*1:註:自分の気に入った音楽に合わせて、プロモーションビデオのように編集して(=ハサミを入れて)しまう、という意味。