2007年12月10日をもって、日本の輸入レコード商を代表する存在だったCISCOが、全ショップを閉鎖。今後はオンライン専門で営業を続けることが正式に発表されました。
http://www.cisco-records.co.jp/docs/stores/

このニュースに付随して一言。
当ブログのエントリー内(これとかこことか)で、いままでハッキリ書いてなかった"トライ"の具体的な内容について・・・気にかけてくれた人もすこしはいたかな。
実はこの12月から、ハウスの新譜/旧譜アナログで基本的に行っていたDJに関し、CDJをメイン機材に移行することにしました。*1
理由はいくつかあります。
たとえば、信頼していた店が次々に無くなってしまい、自分のプレイに個性を与えてくれるようなレコードがずいぶん見つけにくくなってしまったこと。レコード屋が減り、購入先が限られてくると、みんながみんな同じ店で同じようなタイトルを買わざるを得ません。おなじジャンルの新譜でも、A店にだけ入荷して、B店には一枚も入らないなんてことが当然あるわけです。売る方も買う方も、出し抜いたり出し抜かれたりしながら、ある時期の宇田川町界隈などは、毎週末にはVINYL JUNKIESが放った熱で、東急ハンズの壁が焦げるほどでした。言うまでもなく、原油やユーロ高の影響なども覿面で、レコード一枚の単価がべらぼうに高くなってしまったことも、残念ながら大きなファクターです。
そう決意して以来、特にここ一ヶ月は、主に海外のMP3ショップやレコードレーベルの直営サイトで集中的に新曲を購入。また、ここ半年くらいに買った新譜のアナログも自前でデータ化。一曲一枚を原則に、CD-Rをひたすら焼く日々。まさに千里の道も一歩から。この地道な仕込み作業のおかげで、レコードバッグの中身はほぼ完全に入れ替わりました。
今後一切アナログは使わない・・・なんてことはあるはずもないんですが、実際、先日のメトロに来てくれたお客さんの前で、いつも通り(いつも以上?)のパフォーマンスが披露できたから、ひとまずこの選択は正解だったのかな*2
まあ、ボブ・ディランエレキギターを使ったといって暴動になるような時代じゃあるまいし、こんな宣言自体、ジョークみたいなもんです。むしろ機材面の話題なら、PCDJの時代が本格的に到来しつつあるわけで、今ではブースの中にPCを置く専用台があったりしますからね。その一方で、徹頭徹尾アナログにこだわってる人も多数います。特に日本のプロDJには。プレイしてる音楽のジャンルも関係してくるので、この辺はケースバイケースというしかないです。音質面の問題を指摘する声もありますけど、それ以前にクラブの音質面に問題がある場合が多いですから、これはもうほとんど論外なんじゃないかと、個人的には感じています。
ただ、こうも思うのですが、むかし手書きで原稿用紙を埋めていた作家が、ワープロに道具を変えれば、少なからずその文体は変化したはずです。それが読者にとって好ましい変化だったのか、好ましくない変化だったのかは、さまざまでしょう。そうして語られた物語が、ひとを大いに感動させるものだったかどうかも、道具や文体の変化とはまったく別問題です。語るべきストーリーを、道具の所為でうまく伝えきれなかったとすれば、それは使い手である作家の資質に問題があったのだとぼくは考えます。
ただでさえ長くなっている今日の話題に収拾がつかなくなりそうなので、この辺でおしまいにしますけど、今後ぼくのプレイに変化があったとすれば、それは機材の影響というより、ぼくがDJとして伝えたいもの(物語)が変わったせいだと思います。

もちろんレコード屋だろうがCD屋だろうが、リアル店舗は大好きだし、自分自身がレコードをリリースしている以上、無くなってもらっちゃ困ります。音楽がただのデータとしてやりとりされるだけなんて、鼻をつまんで食事をするくらい味気ないですよね。こんな時代だからこそ、創造的で、魅力的な、ワンアンドオンリーのレコードショップを作るチャンスもまた、拡がってる気がするのですが、オプティスミスティックな妄想にすぎないでしょうか?

では最後に書架から引っぱり出した、この雑誌から長い引用を。

*1:カンのいい方ならお気づきだったかもしれませんが。

*2:先日のメトロでこんな裏話。ハルカリさんのライブが終盤にさしかかり、そろそろ出番だと思ってDJブースに入ってみると、ブースのどまんなかにハルカリさんのスタッフが三脚を立て、ビデオを撮影してました。そのせいで、ライブ終了直前までまったくなんの準備もできそうになかったわけ。果たしてこのままスムーズにDJできるのかと、めずらしく不安になり、三分くらい呆然と突っ立ってました。もちろん目の前には数百人のお客さんがいるわけ(三時間くらいしか寝てなかったうえに、出番直前まで居酒屋を二軒ハシゴして酒を飲んでたぼくも悪い)。いざ始まってしまえば無問題だったのですが、あのときはひさびさに焦ったなー。