ドイツ代表の若きプリンス、ルーカス・ポドルスキーはグラウンダー気味のクロスを、相手ゴールの中央へ叩き込んだあと、ほとんど表情を変えないままでチームメイトの祝福を受けた。
ゴールゲットした敵チームはポーランド・・・つまり、ポーランドからの移民であるポドルスキーが生を受けた国。移住先のケルンでサッカー選手として頭角を現し、現在はドイツ代表となってEUROに出場しているわけだが、彼は"祖国"に対する敬意を最大限に表するため、あらゆるパフォーマンスを自重したのだった。
ゴール直後に彼が浮かべたなんとも表現しがたい複雑な表情が、キョーレツなセンチメンタリズムをともなって、ぼくの心をズシンと打つ。個人史と世界史の積算が、彼を実年齢以上に成熟させ、この試合をゲームを超えたゲームへと変えていく。
結果的にポーランドへとどめをさす、二点目のゴールを決めたのもポドルスキー。一点目と同じく最初は無表情だった彼は、スタンドに親しい誰かの顔を見つけたか、ごく控えめに投げキス。そしてその瞬間だけ、彼は子供のようなはにかんだ笑顔を浮かべた。
そして、ついに明日は"死のグループ"C組の試合がスタート。
オランダ対イタリア、オランダ対イタリア、オランダ対イタリア・・・ああ、コーフンして、三回も打ってしまった。組み合わせが決まった瞬間に、ゲーム以上のゲーム、ゲームを超えたゲームになってしまった試合のひとつ。グループリーグ最大のみどころであり、この試合の結果如何では、先日書いた優勝予想がさっそく覆される可能性もあるのだ。
まあ予想は予想として、ぼくが応援するのは同じ誕生日ということで親近感の強いファンニステルローイ(7才も下だけど)と、なんとなく外見で親近感の強いファンブロンクホルストファンデルサールがいるオレンジ軍団・・・オランダ代表。ここまで(良くも悪くも)硬い内容の試合が多いので、壮絶な打ち合い、どつきあいを希望。