ぼくが新作をもっとも待望してる、そしてこれからもまちがいなく待望するであろう作家が、ジュンパ・ラヒリ。彼女の新しい短編集「見知らぬ場所」が、新潮クレストブックスの創刊十周年シリーズの一冊として発売されているのを発見(待望してるわりに・・・)。さっそく買ってきました。*1
原書「Unaccustomed Earth」がアメリカで出版されたのは二〇〇八年の四月なので、まさに正真正銘の最新刊ですね。とはいえ、どの作品も数年前から「ニューヨーカー」誌で断続的に発表されていたので、こんなスピード出版が可能だったのでしょう。たとえばこの中に入っている「一生に一度」は、すこし前、雑誌「考える人」の短編小説特集号で訳出/掲載されていました。*2
彼女の小説はダイアローグよりも、細やかな情景活写に特徴があって、妙齢の女性が主人公の作品が多く、家族関係の機微をテーマに選ぶことが多いことから、インド系の向田邦子と呼びたくなります。もちろん第二次大戦前後の日本人家族と、二十一世紀に暮らすインド系一家という違いはあるけど、父系的という意味でも共通したテイストがありますし。オチの部分にアッと声をあげたくなるような、鮮やかで、大きなヤマを持ってくるところなんかも似てるかも。
窓の外は激しいアメナリ。こんな夜は集中して読書するのにピッタリですよね。旅の準備は後回しにして、まずは見知らぬ場所へ逃避行したいと思います。

見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)

見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)

*1:ほんとうはヴォネガットの「追憶のハルマゲドン」を買おうと思ってたんですが、こちらはなんとなく見送っちゃいました。

*2:この作品が「ヘーマとカウシク」という連作の一部だったというのは「考える人」掲載時点ではなんの説明もなく、今回の単行本化で初めて知りました。