二日前になりますが、金曜の夜に教育テレビでオンエアされたエグベルト・ジスモンチのコンサートは、皆さんご覧になりましたでしょうか?
もちろんぼくは見ました。凄かったですね。デビューから10年くらいの期間在籍した、いわゆるEMI ODEON時代にしか興味を引かれるレコードはありませんし、それ以降のアルバムはほとんど聴いてません。とはいえ(テレビで見る限り)今回の公演はほんとうに充実した内容で楽しめました。
まず面白かったのがリハーサル風景。共演した東京フィルの面々を、トレードマークの10弦ギター抱えてビシビシしごく様は、Jリーグの発足期に住友金属を鍛えたジーコみたいでしたね。
もうひとつ興味深かった発見は、一曲目に演奏された「ストラーバ・ノ・セルタォン」という曲。もしストラヴィンスキーがブラジル人として生まれていたら?というコンセプトで作られた組曲なんですけど、いわゆるボサノヴァのオリジネイターたちが、ドビュッシーなどのフランス印象派に影響を受けていたのと対照的に、ジスモンチ(や、おそらくエルメート・パスコアルも)はストラヴィンスキーの影響が強く関与していたということ。これ、ものすごく腑に落ちました。同じくストラヴィンスキーからの影響が強いフランク・ザッパを、ぼくは昔から好きだったわけだし、ジスモンチやパスコアルとザッパに共通するテイストだって好きなくせに、今までどうして思いもしなかったのだろうか? と。自分でもすごく不思議でしたが、スッキリしました。

で、冒頭に書いたとおり、ぼくの好きなアルバムは1960年代後半から70年代後半までの10年間に集約されていて、なぜかその時期の作品は未CD化のものが多いです。一番好きなアルバム「Cicade Coracao」や二番目に好きな「Em Familia」もCDになってません。まあアナログで探しても、ほとんどのレコードは安いんですけどね。ディスクユニオンの100円コーナーなんかには、ECM在籍時のレコードがよく投げ売りされています。EMI ODEON期のレコードも、今ならせいぜい高くても三千円台じゃないでしょうか。
ちなみにぼくが一番好きなジスモンチの曲は「Em Familia」に収録されている「Sanfona」です。とても美しいのに、ヘンテコなアレンジのスロウナンバー。タイヤの素材がひとつずつ違う(ゴム、木、石、発泡スチロール)クルマが時速20kmで走ってるような感じ。


Egbert Gismonti / Sanfona Egberto Gismonti - Blue Note Trip 5: Scrambled / Mashed - Sanfona

作曲はもちろん、ギターもピアノも超が百個並ぶほど上手なジスモンチなのに、タイトルの付け方だけはまったく感心しません。なんせこの曲の題名「Sanfona」は、そのものずばり「アコーディオン」って云う意味。他にも「Piano」とか「Choro」とか「Silent」とか、そのまんまやんけ!と、ツッコミたくなるような題名のカルナバル。*1

15年ぶりだった昨年、そして今年と二年連続の公演だったわけですが、今後もジョアン・ジルベルト並のペースで来日しそうですね。ソロ・アクト〜オーケストラと来て、次は初期曲を中心にバンド編成でのライブ、なんてのは実現しないでしょうか。それなら飛んで見に行くんだけどなあー。



Serie Estreia: Egberto Gismonti

Serie Estreia: Egberto Gismonti

ソーニョ70

ソーニョ70

とっつきやすさで云えば、ファーストアルバムに尽きるでしょうか。普通のボサっぽい曲も入ってるし、堀込泰行氏云うところの「暗くて良い曲」がオン・パレード。自信を持ってオススメできる一枚です。次点はセカンドの「SONHO(ソーニョ)70」かな。


余談ですが、ぼくの考える世界三大「奇才」顔です。左からジスモンチ、ザッパ、キューブリック。ポイントはやはり、どんなコンシーラーでも消えそうにない眼の下の強烈なクマと鷲鼻。クマと鷲鼻はなんとかなりそうですが、決定的に足りないのが・・・才能!!!!!!!!!!!!

*1:あと、唄もかなり下手くそ。