バクマン。 1 (ジャンプコミックス)

バクマン。 1 (ジャンプコミックス)

このブログで扱っている話題の中で比較的反響が多いのが、コミック関連のエントリー。ぼくなんてたいしたマンガ読みじゃないのにな。それだけ既存のメディアが、みんなにとって有益な情報をフォローできてない証拠なのかもしれないね。
つーことで、連載で読むのを、ひたすらガマンにガマンを重ねておりました「バクマン。」。原作・大場つぐみ×作画・小畑健の「デスノート」コンビによる平成の「ハムサラダくん」・・・と云えばわかりやすい? その第一集を遅ればせながら手に入れましたゾ。
あっけなく連載が頓挫してしまった竹熊×相原「サルまん2.0」のパスティーシュというわけじゃないでしょうけど、主人公二人の設定は「サルまん」や、作者である大場×小畑と同じく、作画担当と原作担当のコンビでありまして、勉強よりもゲームに夢中な14才男子(ただしズバ抜けた絵の才能の持ち主)と、同級生である学校イチの秀才(こっちは文才アリ)が、ノート(!)をキッカケにして手を組み、漫画家を目指していくというハナシ。
ん、いや、ちょっと違うな。厳密に言うとですね・・・・・・プロの漫画家になることはもちろん、主人公がある人と交わした約束を果たすべく、18才までに少年マンガの世界でトップ(=ジャンプで読者アンケートの一位を取り、作品がアニメ化される)になることを目指すっつうストーリー。過去の漫画家実録モノとは比較にならないほどアップデートされた、今どきの漫画ギョーカイ事情がつまびらかになっていて、これがじつに面白い!
ジャンプの編集部員や実在の漫画作品などが実名で登場し、少年誌ばなれしたマニアックな情報を取り込みつつ、物語はものすごいスピードで展開。ノートのくだりだけでなく、主人公とライバルの関係性も「デスノート」のセルフパロディのように読めたり、またオーソドックスな学園恋愛モノとしての横糸もバッチリ張られてたりと、きわめて幅広い層に受けいれられそうな作品になってるのはさすが。
すでに「バクマン。」効果で、ジャンプ編集部には若い漫画家の卵たちから持ち込みが増えてるっていうんだから凄いっつうか、単純っつうか。とはいえ、読者がマンガを描きたくなるようなマンガ家実録モノ・・・・・・というのは今までありそうでなかったと思うし(ハウ・トゥ本は除く)、マンガからの影響でその道を志した子どもたちの中から、次代の爆発的な才能が発掘されることは往往にしてあるわけで、結構あなどれんかもね。ともあれ、週刊誌システムの衰退が顕在化した漫画業界に対するある種の最終兵器が、もっとも巨大なシステム(=ジャンプ)から発射されたことには、あらためて驚かされた次第です。
実録&自伝マンガ的側面なら「まんが道」、また(漫画界のライバルとの)バトル物としての要素が膨らめば「ドラゴンボール」ばりの長期連載も可能なだけに、着地点が楽しみ。これからはしっかりと連載も追っていくことに決めましたよ。


漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (1)

漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (1)

漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (2)

漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (2)

むかしの漫画家実録モノといえば「売れない」「描けない」「食えない」っていう3ナイがお決まりでした。むしろこういうマンガを読んで、その道を諦める人の方が多かったかもね。

いわゆるギョーカイ物としてはいささか古くさい内容になったかもしれませんが、ある種のクリエイターズ・バイブルとしては一生読み続けたい名著「サルまん」。また一歩、野望にちかづいた!

新刊を待つこと、丸二年。連載開始からは12年。「まんが道」から数えれば四十年くらい連載してるという、まさにA先生のライフワーク。トキワ荘の住人たちが次々と召されていく中、なんとか先生の存命中に完結することを祈っております!