ぼくが一年で一番好きな日、大晦日がやってきました。終わりよければ・・・じゃないですけど、大晦日を印象的に過ごした年ってなんとなく心に残りますよね。
今年はというと、この押し迫った時期に前田日明参院選出馬と永ちゃんの紅白出場という二大ガッカリニュースが飛び込んできて、それはそれで印象深くなりそうなんですが(苦笑)それはさておき。2009年は新しいものが産まれたというより、なんとなく訃報ばかりが記憶に残るという感じがします。
清志郎、MJ、トノバンは言うまでもなく、ストゥージーズのロン・アシュトン、ザ・シーズのスカイ・サクソン、ジム・キャロルといったアメリカン・オルタナティヴ・ロックの偉大なる先達たち。
ヒップホップ界ではデレク・B。ジャズやポップス界ではレス・ポールブロッサム・ディアリーバド・シャンク、PP&Mのマリー・トラヴァース。しばしば混同しがちなWランキン(ケーシー / ケニー)が相次いで物故したのも印象深い。
直近では、ヴァン・ダイク・パークスの全面参加で素晴らしいアルバム『Ghetto Bells』を残したヴィック・チェスナット。あと音楽界では無いのですが、ジョン・ケージの盟友だった舞踏家のマース・カニングハム。数多くの素晴らしいレコード・ジャケットを手がけたグラフィック・デザイン界のツインスター、福田繁雄粟津潔。音楽評論家の巨人、平岡正明黒田恭一
作家ではジョン・アップダイクJ・G・バラード庄野潤三。映画界はダン・オバノン、ハードコア・ポルノの女王マリリン・"ディープ・スロート"・チェンバース、自慰中の事故(!)で亡くなったデイヴィッド・キャラダインブリタニー・マーフィー。漫画界だと臼井儀人先生の死はショッキングでした(おなじコサキンリスナーとして)。
もちろん三沢光晴テッド・タナベ、松永高司、剛竜馬、猪木の引退試合の相手だったショータ・チョチョシビリNRBQとの共演やシンディ・ローパーとの抗争(!!)で有名なキャプテン・ルー・アルバーノ・・・と、プロレス界の相次ぐ訃報にも涙の乾く暇がありませんでした。

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そういえば、昨日テレ東で放送されていた「男はつらいよ」を見ていて、タコ社長を演じていた太宰久雄が亡くなる際に残した遺言のエピソードを思い出しました。「生者は死者のため煩わらさるべからず」と書き残し、葬儀一切や供物をすべて断り、遺族もそれに従ったという話です。

それに比べて、今年亡くなった人たちを思い返すと、死者たちが生者のために煩わされているような事実があまりに多かったと思いませんか?

もちろん今年に限った話じゃありません。こうした訃報によってますます心をかき乱されるようなことがこれからドンドン増えていくはずです。なぜなら二十世紀以降のあらゆる音楽、美術、文学、コミック、映画と云ったジャンルで、ぼくらにとって身近な世界を形づくってきた多くの偉大な巨星たちが、いつ墜ちても不思議ではない世代に入っているということですから。
そこにつけこむように、他人の不幸で懐を少しでも潤わせようとする人々・・・それが家族や友人といった生前の故人にとって身近な存在だったり、彼ら自身が善意と信じている想いを動機としていたとしても・・・のふるまいで、死という穢れないものが一瞬で不純にされてしまうような気持ちになることが多い一年だったし、それはとても残念でした。

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今朝方、年内締切を厳命されていた原稿が無事に完成したので、心おきなくソバ食って、モチ食って、酒を呑んで、ダウンタウンとDynamite!をザッピングしながらの年越しになるでしょう。
皆さんにとって来年がさらなる良い年になりますよう、ここ湘南の地から祈念しつつ、今年の更新を終えたいと思います。

それではみなさん来年もヨロシクお願いします。

2009年12月31日 ミズモトアキラ