最終目的地

ピーター・キャメロンの第四長編『最終目的地(The City of Your Final Destination)』を読了。
実はなぜこの本を読もうと自分が思ったのか、その理由が全然思い出せないのだ(四十才過ぎるとこんな感じになっちゃうのカナ?)
ジェームス・アイヴォリーがこの作品を原作に映画を撮ってるらしいけど、ぼくは別段、アイヴォリーのファンというわけじゃない。最後まで読めば思い出すかと思いきや期待は裏切られ。そのせいか、この本の<最終目的地>に到達した今も、なんとなくフワフワしてる。クレストブックのHPを見て、惹きつけられるものがあったことはハッキリしてるんだけど……。まあこんな状態にも関わらず、ちょっと変わった設定の、風変わりで、ビタースウィートなラブストーリー。けっこう楽しめました。

伝説的な長編小説を一本だけ遺し、この世を去ったある作家の伝記を執筆しようとした青年が、遺族からの公認を受ける必要に迫られ、作家の未亡人、作家の愛人と娘、作家の兄と若い恋人(♂)が奇妙な共同生活を送っているウルグアイの片田舎へ向かう……ってとこから物語は動き始めるんだけど、話の大部分は作家の両親が建てたドイツ風の古式な屋敷で進行していくのね。まあ、いかにも<お屋敷大好き>なアイヴォリーが好みそうな筋立て。

ピーター・キャメロンの作品を読むのは初めてでしたが、風景描写が非常に上手く、言葉遣いはさらりとしてるのに、ウルグアイの…もちろん行ったことも見たこともない田舎の自然や屋敷の光景を、丹念かつ魅力的に描かれておりました。

女性作家の書いた小説のような読書感があり、なんとなくアン・タイラーと共通する雰囲気(特にダイアローグの感じ)もあるように思ったので、英語版のWikiを拾い読みしてみると、影響を挙げている作家のひとりがエリザベス・テイラーだった(フランソワ・オゾンがこの人の『エンジェル』を映画化。無論バリバリの<お屋敷>系)。かつて同性愛者やHIV患者のための組織で作家活動と並行して働いてたこともあるようなので、彼自身、同性愛者かもしれません。*1

ただ、アイヴォリー(彼はごぞんじのようにゲイです)が作ったという映画版。2007年に完成し、配役もそれなりに豪華(アンソニー・ホプキンスシャルロット・ゲンズブール、そして我らが真田広之!)だったので、DVDになっていればぜひ見たいなぁと思って調べてみたところ、なんとこれがオクラ状態で三年経過。アメリカではようやく今週末から公開だそうです。アイヴォリーも今年81歳。いつ何時これが最後ってことになるかわかんないわけで、日本でも早く公開してあげてください。*2
それにしても。このまえ『ブラッド・メリディアン』という難物を乗り越えたばかりだから、どんな本でもスイスイのラクラクで読めるんだな。ということで、次は同じくブログに書いた『白の海へ』にとりかかる予定。

*1:この点、詳しく調べてないので確証はなし。あくまで直感。あしからず。

*2:ちなみにimdbにこの映画を『ファイナル・デスティネーション』の最新作だと勘違いした書き込みがあり、アイヴォリーのファンが物凄い剣幕で怒ってたのが面白かったです。