よく晴れた五月の空の上で。

(1978年5月の)ある午後、わが友佐藤慶より電話があり、会いたいなァというので一ツ木通りのなじみの喫茶店<一新>で会い、オレに何か用か? とききましたら、別に用はない顔を見たかっただけや、というので2時間ばかり並んで坐りコーヒーを2杯ずつのみアアとかウンとかいっただけで別れました。友とはこれでいいのだ。殿山泰司『ミステリー&ジャズ日記(現在『三文役者の待ち時間 (ちくま文庫)』として復刻)』より)

ぼくはこのエピソードがとても好きで、読む度にアタマの中でジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』のようなシブいモノクロフィルムで映像化し、ニヤニヤしてしまいます。
きっと今ごろ、この気持ちよく晴れた五月の午後の空の上で、佐藤さんと泰チャンは二人並んで坐って、アアとかウンとか言いながらコーヒーを飲んでいることでしょうね。友とはそういうものだから。