ジョンの魂

ジョン・ブライオンのことは以前このエントリーで詳しく書いたことがありますが、このところ彼が手がけた作品に惹かれるものが少なく、ファンとしてはいくぶん物足りない日々を送っていました。そんなぼくの心の声が西海岸まで届いたのか、今年に入ってリリースされた対照的な二枚のプロデュース作品がとてもおもしろかったので紹介したいと思います。



一枚目はオブ・モントリオールの「False Priest」。昨年リミキサーとしてジョンが関わったマキシ・シングル(その名もずばり「Jon Brion Remix」)がぼくの中の両者のイメージをうまく折衷したようなサウンドになっていてすごく気に入ってたんだけど、今回はジョンがプロデュースしたフルアルバム。
ひとことで言えば、やりすぎ!(笑) こちらの気力体力が整ってないと聴き通すのが難しいくらいハイ・ヴォルテージ。実際ヘッドホンしてソファに寝転がって聴いてたら、放出されるエネルギーの過剰さにヤラれ、意識のファイアウォールが遮断されたのか、一瞬で爆睡…。
ジョンはあくまでアイディアのまとめ役に徹しているようで、彼自身の個性はそれほど強く反映されてないけれど、これだけ多様でムチャクチャな音のぶつかり合いを、うまくひとつのイディオムに統合してしまった剛腕ぶりは凄いなあと感心してしまいます。



もう一枚はPunch Brothersの「Antifogmatic」。
説明する手間が省けるかと思って同じ曲(アルバムの一曲目に入っている「You Are」)のクリップを二種類貼っておきました。上のライブ・ヴァージョンと下のアルバム・ヴァージョンを聴き比べてもらえれば、ジョン・ブライオンがプロデューサーとしてどんな魔法をかけたか、すぐに分かってもらえるはずです。
Punch Brothersはレディオヘッドのカヴァーなんかもライブのレパートリーに入れてたりして、新世代のブルーグラス・グループとして人気があるみたいですが、ドラムレスのシンプルな編成の演奏に余計な加工も施さず、マイキングやミキシングの妙で新鮮なソノリテを引き出しているのは、ひとえにジョンの手腕だと思います。
こういう素晴らしいプロデュース作品を耳にするたび、10年近くリリースされていないソロアルバムを切望しているのですが、なかなか期待は叶えられません。彼にマーク・ロンソンの半分くらいのあざとさがあればよかったのにな。